ネット上などでよく見られる新しい日本語の形について。ただそれを面白がったり、または糾弾する本ではない。1946年と1986年の現代仮名遣いの指針を分析しつつ、表音表記という流れにあるものとして解明していく。つまり、現代の「乱れた日本語」は読みと書きを一致させようと様々な表記法を開発している流れにあるのだ。だが本書がユニークなのは、この典型例を江戸時代の式亭三馬に求めているところ。
トピックは促音の「っ」、「ぁ」など小文字化、カタカナによる外来語表記、「ず/づ」「じ/ぢ」の統一、「あ゛」などの新しい濁点文字、長音符号の反復、句読点の消失など。これらを表音表記への流れのうちに捉え、「ネオ仮名遣い」として新しい規則を模索する。
日本語のいくつかの表記の歴史には興味を引かれた。また式亭三馬の話はけっこう面白かった。だが、冒頭の日本語は文字の形を特に気にする、という論点はあまり説得的ではない。また、いわゆる「ギャル文字」の話が始めの方で出てくるのだが、それからは出てこない。外来語表記の話はちょっと細かすぎるとも感じた。
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