イタリア語の標準的な初歩文法書。23課に分かれていて、大学の授業で一年かけて行うような内容だろう。イタリア語の文法が一通り扱われている。こうした本によくあるような内容。しっかり学ぶ本で、決して読みやすい本ではない。文字と発音から始まり、名詞の性数、形容詞、冠詞などを経て動詞の変化、法と時制、関係代名詞や再帰代名詞など。イタリア語特有となる直接・間接の補語人称代名詞はやや分量を取って扱われているように思う。
課単位で様々な情報を盛り込んでいくので、単一のトピックが複数の課に現れたりしている。そのため、同じ補語人称代名詞の話でも記述が分散して見づらいところもある。また、イタリア語は完了時制を持っておらず過去時制として半過去・近過去・遠過去・大過去があるが、これらも等し並に扱われていて軽重はさほど付けられていない。
動詞の複数三人称形のアクセント位置と、分詞の性数変化が厄介な印象。動詞の複数三人称のアクセント位置はたいがい、複数一人称・二人称とは異なって単数人称のアクセント位置と一致して変化語尾の前にある。ただ、直接法未来や直接法遠過去、条件法現在などではすべての形が変化語尾の後ろにアクセントをもっている(p.143f, 161f, 169)。また、現在分詞・過去分詞・ジェルンディオの性数変化は、通常は主語の性数に一致する。これは納得がいく。ところが、直接補語人称代名詞がある場合、補語の性数に一致する場合がある。それは近過去など複合時制に使われる過去分詞でavereと結合するもの(p.113)。ただし再帰動詞が直接補語人称代名詞とともに使われる場合は、essereと結合するものでも性数は補語に一致する(p.132)。また分詞構文の場合も直接補語人称代名詞の性数に一致する(p.214)。これは直感的にどうも分かりにくい。なぜこうなっているのだろう。
スポンサーサイト
- https://exphenomenologist.blog.fc2.com/tb.php/721-bbd8e108
トラックバック
コメントの投稿