読んだ本をひたすら列挙。読書のペース配分とその後の読み直しのためのメモ。学而不思則罔、思而不学則殆。
10種類のぶどうを選んでワインを語るエッセイ。特徴やワインとしての起源、代表的なワイナリー。そして書き手がソムリエなので、サーブの仕方(温度、デカンタージュ、料理とのハーモニー)について。ソムリエとしての実務からの経験談やエピソードも興味深く読める。10種類はシャルドネ、リースリング、ソーヴィニョン・ブラン、シュナン・ブラン、甲州、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、シラー、グルナッシュ。甲州を除いてフランスがメインの国際品種ということになる。
知らないことも多くあって楽しめた。いろいろとメモした。まだ白ワインをデカンタージュすることがメジャーでなかった当時に、コルトン・シャルルマーニュをデカンタージュしてサーブし、最初は客に怪訝なコメントをされた少し独りよがりの経験(p.20-23)。リースリングは酸味が豊かなため、10年以上の長期熟成に適する(p.30f)。シュナン・ブランは花梨ジャムのような濃密な香りを持つ。ただしロワール産以外ではっきり現れることは少ない(p.65f)。シュナン・ブランのサーブはやや温度高めで12−14℃で、前日にカラフェしてもまだ開いていないこともあるくらいゆっくりと香りが開くという(p.71f)。シュナン・ブランといえば南アフリカを主に飲んでいるので意外だった。たしかに開けて翌日くらいのほうが良かった気もする。
甲州は赤紫色をしていることからも分かるように、フェノール類が多いことが特徴。甲州のフェノール類は渋み成分だとして、ハイパーオキシデーション(発酵中の過酸化)によって排除されてきた。最近はそれを個性として残す作り方が広がる。フェノール類は丁字(クローヴ)のようなスパイスの香りをもつ(p.84f)。シラーについて、エルミタージュで鉄さびのミネラル感が際立つ(p.154f)。シラーもオーストラリアばかりなのでローヌ地方の多様性に興味を持つ。ブショネかどうかの判断を巡って、同じソムリエで意見が異なる難しさも印象に残った。結局はシチュエーションと飲む人による(p.108-111)。
Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
コンサルティングファームに所属。数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。しかし博士号は取らず進路変更。以降IT業界に住んでいる。
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