読んだ本をひたすら列挙。読書のペース配分とその後の読み直しのためのメモ。学而不思則罔、思而不学則殆。
良書。科学技術史とSTSについての事典。一つの事項が見開き2ページで完結するように書かれている。本書は三部に分かれる。第二次世界大戦後からの科学技術における大きな話題を扱った部、科学技術が現在において大きな問題を提示し続けている事項を扱う部、そしてSTSと科学社会学など隣接分野の方法論的概念を扱う部。
扱われている範囲はとても広く、基礎的な概念から発展的な内容までを含む。各項目は簡潔にして要を得ており、概観するに好ましい。紙幅の関係から基本的な事項の解説にとどまっており、論争状況の概観や、参考文献についてはやや物足りないものを感じる。私には歴史的事項はとても役に立った。特に、第二次世界大戦後に科学への反省に基づいて日本学術会議の設立に至った仁科芳雄や荒勝文策、1970年代に科学批判を展開した柴谷篤弘といった人々。
事典的な本なので通覧して得られる像は少ない。通史的な視点は他書に譲る。ときに触れて自分の理解を見直すにはとても良い本だ。
Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
コンサルティングファームに所属。数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。しかし博士号は取らず進路変更。以降IT業界に住んでいる。
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