読んだ本をひたすら列挙。読書のペース配分とその後の読み直しのためのメモ。学而不思則罔、思而不学則殆。
"less trust, more truth"という言葉で有名な、Web3 FoundationのGavin Woodの発言が印象に残る。信頼そのものが全面的によくないものだ。信頼は信頼される相手に権威を与え、恣意的な行使を可能にする。信頼はもっと確実なもの、真実、根拠、メカニズムに変えていくべきだ(p.28)。でもブロックチェーンだけではなく、その運用を含めて考えたシステム全体って信頼で成り立っていると思う。仕様に対する信頼、仕様がきちんと実装されていることへの信頼など。
佐賀県嬉野市でDAOを用いた熟議民主主義の実現に向け、DAO4Nを開発している話。政策の審議員を市民からランダムに選び、ファシリテーター、専門家もランダムに選ぶ。短期的な利益に走らないように税金から報酬を提供する。匿名投票のプロトコルを利用して悪用を防止する。決定された政策はスマートコントラクトにより自動的に実行する。分散化IDと、ブロックチェーン上での暗号生成が技術的な難点という(p.56-67)。詳細はよく分からない。特になぜブロックチェーン上で暗号生成しなければならないのか、など。少し調べてみると面白そう。
用語集も役に立つ。ただ例えばNFTは「唯一無二であると証明されたデジタルデータ」とだけあって、それは違うだろうと思うところもある。NFTは唯一性は証明しない。NFTによる唯一性を支えるのはNFTそのものの性質ではなくて、複数のNFTを発行しないという運用面の慣行だ。NFTそのものが提供する機能は、NFTが指し示す何らかのものと、NFTに記録された公開鍵の紐づきが改竄困難(不可能ではない)であることのみだ。
Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
コンサルティングファームに所属。数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。しかし博士号は取らず進路変更。以降IT業界に住んでいる。
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