微分幾何の入門書として名高い一冊。たしかにすっきりとまとまっている。曲線から始まり、曲面に至って第一基本量や第二基本量、曲率の議論。動標構を導入して一般論を展開。さらに微分形式を導入して簡潔に示す。接ベクトル場から共変微分、測地線の議論へ。ここではリーマン計量も扱って、リーマン空間へのつながりをつけている。そして微分幾何の入門では一つの到達点となるガウス・ボネの定理を扱う。改訂版で付された極小曲面の議論は、複素空間を使って等温座標系ならワイエルシュトラス・エンネパーの表現という、なかなか興味深い形の表現が曲面に対して与えられることを示す。
行間も追いやすい方であるし、様々な曲面で具体的に基本量や曲率などを計算していく過程もある。ただ私にはどうも読みにくさを感じた。なぜそのような定義をするのか、その定義が何を示しているのかイメージがつかみにくいところがあり、他書を引くなどした。特に微分形式を用いて書き直していく過程は、美しくまとまるが、単に計算しているだけに理解が留まってしまい苦労した。
また具体的な座標で計算をした後、特定の条件を満たす一般の座標でもう一度その議論を置き換えていく記述において、具体的な座標なのか一般論なのか迷子になってしまう時もあった。それでも本書は過去、一度途中で挫折しているが、最後まで読み通せた。
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