読んだ本をひたすら列挙。読書のペース配分とその後の読み直しのためのメモ。学而不思則罔、思而不学則殆。
常微分方程式のいくつかの解法についてポイントを絞って解説したもの。とても分かりやすい。微分方程式の本は解法に特化したものが多い。基本的にいかにして解くかが書かれている。他の数学の本のように、その解法はどういう場合に適用できるのか、その解法が適用できるとはどういうことなのかについて書かれることはあまりない。ある解法で導かれた関数が微分方程式を満たすかどうかは、実際に微分してみればいい、とすることが多い。よって数学的構造に興味がある自分には、解法だけが無味乾燥に続くといった印象となり、いくつかの本で挫折した。この本はだいぶ読める方だった。
変数分離形、全微分方程式となる積分因子、定数変化法、指数関数解、ラプラス変換、ベキ級数展開と中心となる解法を扱う。まず二階微分方程式くらいで解説を詳しく行い、その後、一般化する。その解法に至る発想の後が辿られていて、なかなか飲み込みやすい。最後の方はリプシッツ条件による解の一意性、グリーン関数・デルタ関数・ヘヴィサイド関数(ただグリーン関数の求め方は、何がグリーン関数の性質なのかはっきりせず難しい)、複数解の線形性についてと、やや数学的に面白い話が続いている。
キーポイントのみとしつつも、それなりに微分方程式の入り口の広い範囲はカバーしている。読みやすく面白い一冊。
Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
コンサルティングファームに所属。数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。しかし博士号は取らず進路変更。以降IT業界に住んでいる。
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