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藤崎達宏『3~6歳までの実践版 モンテッソーリ教育で自信とやる気を伸ばす! 』

わが子が何でも自分で決めて人生の主人公として生きていくのか、親に何でもしてもらわなければできない、言われたとおりにしか行動できない「指示待ち」の人生を生きていくのか、それが3歳から6歳の3年間の親の見守り方で決まってしまうのです。(p.41)

3~6歳向けに家庭でモンテッソーリ教育の要素を取り入れるやり方について。モンテッソーリ教育では子供の発達を24歳までの6歳刻みで、4段階に分ける(p.26-29)。すなわち、乳幼児期、児童期、思春期、青年期。子供の発達は連続的ではなく、断絶があると考える。このうち特に注意すべきは乳幼児期と思春期だ。6歳までの期間に、人生を生きるに必要な力の80%が備わる。


子供が強く興味を持ち、同じことを繰り返すのはそれぞれ限定された時期、「敏感期」がある。この時期を捉えて、その能力伸ばすように支援することがモンテッソーリ教育の特徴だ。人によって違いはあれど、児童期には時期を追って様々な能力の敏感期がある(p.2f)。本書では運動、感覚、言語、読み書き、数、文化・礼儀といった敏感期の始まりの気づき方、敏感期を捉えた能力の伸ばし方について平易に記している。子供を観察し、どのような活動レベルにいるのかを見極める。そのレベルに合わせた活動や道具を与えることが大事。もしなにかうまくできていないのであれば、一連の行動から難しいステップだけを取り出して繰り返し、一人でできるように援助する。これを困難性の孤立化という(p.44-47)。


時期を捉えないことはその能力が伸びないだけでなく、伸びることを阻害してしまう結果にもなる。例えば、数の敏感期は意外に遅く、4歳後半から6歳にやってくる。あまり早くやらせようと無理をすると、数嫌いになってしまう(p.124-132, 166)。親は英才教育を行おうと早くから数や英語などを習わせるが、何よりも子供がそうした学習が可能な状態になっていなければ意味がない。能力面もそうだが、環境を整えることも大事。片付けなさいと言う前に、ひとりで容易に片付けられる環境かどうかを見直す。自分で選んでいけるようにするために、自分のものが見やすく手が届くところに整理されているかを見直す(p.158-161)。


子供を一人の人間として尊重し、自律性を養う。できたときに褒めておだてるよりも、認めること、相手の満足感に共感すること(p.189f)。日常生活で自己肯定感と他者への信頼を育てるには、自分で決めること、一人でできるように手伝うこと、認めること(p.222-224)。


最後にはモンテッソーリ教師の心得12か条が掲げられている(p.247-252)。もちろん教師用のものだが、そのエッセンスはどの保護者にも役立つ。(1)環境を整備する、(2)教具・教材をはっきり正確に提示する、(3)子供が環境と交流を持ち始めるまでは積極的に、交流が始まったら消極的に接する、(4)物を探している子供や、助けが必要な子供の忍耐の限界を見守る、(5)呼ばれたらすぐに駆けつけ、言葉をかわす、(6)子供に誘われたときは、求めていることをよく聞く、(7)仕事をしている子供を尊重し、妨げたり、話しかけたりしない、(8)間違いはあからさまに訂正しない、(9)休憩している子供には、無理に仕事をさせない、(10)作業を拒否する子供や理解しない子供は、忍耐強く誘い続ける、(11)教師は自分を探す子供に存在を感じさせ、見出した子供からは身を隠す、(12)教師は仕事を終えた子供のところに姿を表し、自らの精神を静かに贈る。
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坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
コンサルティングファームに所属。数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。しかし博士号は取らず進路変更。以降IT業界に住んでいる。

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