読んだ本をひたすら列挙。読書のペース配分とその後の読み直しのためのメモ。学而不思則罔、思而不学則殆。
非常に詳細でありながらまとまりがよい素晴らしい一冊。各ページ見開きで、左側にポイントの記述、右側にはそれらポイントを図表にしたものが並ぶ。アンケート調査の設計から具体的な設問の作成、調査対象の収集、集計。およそ半分の分量で後半が多変量解析の様々な手法をまとめている。それぞれ図表はチェックリストやフローチャートとして使える。
アンケート調査は、PDCAのどの段階で調査を行おうとしているかを考えることが重要。調査課題はPDCAの各段階に位置づけられる(p.34)。おおよその調査費用の見積もり方(p.44)、標本数を決めるための経験的ガイド(p.46f)はとても有益で、こうしたヒューリスティックな情報は助かる。
調査対象者を絞り込むために検討すべき5つの特性(人口統計的、心理的、経験的、地理的、その他特殊な特性)(p.68)。またインターネットでの調査は独立にポイントがまとめられている。インターネットでの調査は、インターネット利用者でアンケートに関心を示す人に限られるので偏っており、代表性の問題がある。標本数は多く取得できるとはいえ、市場規模を推定するような調査ではなく、事例調査と考えるべきだ。インターネット利用者は6歳以上人口の78.2%、インターネットアンケート回答者は同11.9%(2010年総務省調査)。インターネット利用者層にも、インターネットアンケート回答層にもデモグラの偏りがある(p.98, 102-105)。そうした点を踏まえ、インターネット調査での有意水準は1%にすることが勧められる(p.163)。
多変量解析の解説も分かりやすくまとまっている。χ二乗検定とt検定は簡便に計算式も載っており、参照するに便利(p.157-168)。プロビット分析の解説もよい。順序尺度を間隔尺度に変換するシグマ値法(系列カテゴリー法)(p.175-181)は初めて知ったが、一般の機械学習でも使えるものだろう。
実務家には側に置いておくべき有益な一冊と見える。
Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
コンサルティングファームに所属。数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。しかし博士号は取らず進路変更。以降IT業界に住んでいる。
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