

理論、実例、コードのバランスが取れたよい一冊。線形最適化とその解法アルゴリズムをメインにして、そこから離散最適化、グラフ最適化(経路最適化)、非線形最適化とさわりを説明していく。簡潔な本でそこまで詳細に踏み込んでいかないが、それぞれの問題の概要を知るには良い本。コードはほぼ数式をなぞるだけだが、なぞるだけで書けるということが分かる。
理論的解説はときに天下りにもなるが、概ね私にも読めるようなものだった。ただいくつかよく分からないところも。内点法の解説はやはりあまり着いていけなかった。そもそも最初の段階で、qが任意に与えられているのにx,zがともに0が最適解となるところで躓いた(p.49)。離散最適化で、ビンパッキング問題は何が問題かこのままでは分からない(p.86-92)。必要な容器の最小数を求めるだけなら、単に重量の総和を容量で割れば求まる。組み合わせを求めるとしないといけない。
グラフ最適化のところは特によく書けている部分だと思った。グラフ上の話がうまくそれまでの離散最適化の話に結び付けられている。特に辺彩色についてのVinitzの定理は面白い(p.145-149)ので、詳細を知りたいところ。こうしたグラフ彩色の現実問題への使い方として、2部グラフを辺彩色すると、同時並行できる組み合わせが求められることがある。
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