

アラスカ北極圏についての写真とエッセイ。有名な本のようだ。著者はアラスカのフェアバンクスを拠点としながら、北極圏の地域を撮影し続けていた。カリブー、ムース、グリズリー、ザトウクジラといった動物たち。イヌイットやネイティヴアメリカンなど、いまでも狩猟中心の生活を送るアラスカ先住民たち。とにかく広大で厳しいアラスカの自然と、そこに生きる人々が活写されている。
写真は躍動的で楽しく美しい。アラスカの大自然が手に取るようにわかり、息を呑む。ときには誰もおらず何もなく、セスナでしかアクセスできない原野に数ヶ月たった一人でテントを張り、カリブーの数万頭の群れを追いかける。先住民たちの中でも、狩猟を中心として昔ながらの生活を守る人々に焦点を当てる。こうした先住民でもアラスカで資源開発が進むにつれ、近代化された生活に触れている。本書はこうした問題についてはさほど触れないが、例えばアラスカ先住民を蝕む若者のアルコール中毒や自殺の問題などが書かれている。自殺率は同年齢の白人と比較して10倍に及ぶという(p.78-83)。変わっていくもののなかで変わらないものが捉えられている。
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