fc2ブログ

Entries

トーマス・リモンセリ『エンジニアのための時間管理術』


自分は時間の使い方が下手なので、参考になるかと読んだ。題名はエンジニアのための、とあるが、むしろシステム管理者のための時間管理術だ。ユーザーからの使い方の問い合わせに回答したり、新しい従業員のためのPCを用意したり、業務システムのトラブル解決やソフトウェアアップデートを行ったり。システム管理者の時間管理が特異な理由が三つ挙げられている(p.4)。非常に多くの割り込みにさらされること、一般の人よりも高度なテクノロジーを解決のために利用できること、時間管理がキャリアパスの中にないことの三つ。一般的な開発エンジニアとかは第一の点はあまり当てはまらないだろう。

前半は一般的な時間管理の方法について、後半になるにしたがって特定の技術の話になる。eメールの管理法(クラウドベースが主流になった現在ではかなり事情が異なる)、Wikiを使ったドキュメント管理、シェルによる典型作業の自動化など。

いかにして自分が集中して作業できる時間や環境を確保できるかが重要だ。納得したのは、記憶しておく必要があるものは書き出すなどして外部に追い出し、集中できるようにすること(p.14-16)。依頼された事柄は書き出しておき、いったん意識から追い出す。次のミーティング前にアラームをセットして、今が何時かを気にする必要をなくす、など。

作業時間の見積もりとスケジューリングの重要さ。作業にかかる時間よりも、その作業をすべきか考える方に時間を取られているなら、とにかく作業に取り掛かること(p.42f, 52)。毎日、最初の10分間を使って、その日のスケジュール(ミーティングや昼食など、自分の空き作業時間以外の時間)、作業リスト(作業時間の見積もり付き)と優先順位を作成する。優先順位は、今日中にやるべきこと、近日中にやるべきこと、そうでないことの三つしかない(p.74)。1日の終わりに終わらなかった作業を、翌日のリストに移動して1日を終える(p.65-67)。このスタックリストは使えそうだ。

仕事始めにまずメールをチェックして、ニュースやツィッターをチェックして、というのは最悪。集中しやすい一日の最初の一時間を、メールのチェックに充てたりせず、自分が取り組むべきプロジェクトに充てること(p.21)。割り込んでくるタスクに対しては、委任、記録、実行という3つの方法。他人にタスクを渡すか、すぐに行わず記録しておくか、すぐに行うか。問題は依頼してきた人が無視されたかどうかでなく、無視されたと感じるかとうか。すぐに問題の解決に取り組まなくても、依頼してきた人は憤慨しないものだ(p.29-32)。

それなりに使えそうなテクニックはある。自分の中に定着するには1ヶ月くらいは見たほうがよいらしい。まずは取り組むことから。
スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
https://exphenomenologist.blog.fc2.com/tb.php/1047-25a86e61

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
コンサルティングファームに所属。数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。しかし博士号は取らず進路変更。以降IT業界に住んでいる。

別館:note

検索フォーム

QRコード

QRコード