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五十嵐悠紀『AI世代のデジタル教育』

HCIの研究者が、育児とデジタルデバイスについて書いた本。デジタル技術が普及していく社会に向かって、子供のどんな力を伸ばせばいいか。それに対して保育者はどう接するべきかを書く。後半にはそれらの力をいくつかに分類して、55のポイントを記している。デジタル技術と育児と言えば、小学校で必修化されるプログラミング言語が話題だが、幼児期にはプログラミング能力そのもののよりも、非認知能力を活かすべきだ。好奇心、関...

赤尾勝己編『生涯学習理論を学ぶ人のために』

生涯学習理論について主要な学説の紹介を中心に室したもの。ノールズの成人教育学、フレイレの意識化理論、メジローの変容的学習、コルブの経験学習といった学説が扱われる。個人的には状況に埋め込まれた学習situated learningの簡潔な解説を求めて読んだが、その目的には十分だった。硬い翻訳調の記述やあまりに図式的な記述もあるために、門外漢にはやや難しいところもある。生涯学習理論は、成人の教育に関する理論。本書では...

五十嵐悠紀『スマホに振り回される子 スマホを使いこなす子』

著者は教育学の専門家ではなく、CGとUIの専門家だ。HCIの観点から、子供とスマホの問題についても活動しているようだ。何かの研究発表会で著者を見かけた。専門分野の研究としては着実なものだったので、そういうことが書いているのならと読んでみた。対象読者はあまりITリテラシーのない親だろうか。スマホを始めとする情報端末で何ができるようになっていて、子供に対してどのような危険があり、どういった対策がありうるかをと...

中室牧子『「学力」の経済学』

子どもたちは時間とともに成長し、知識や技能を向上させる傾向がありますから、ある教育政策を実施した前後で子どもたちの変化を比べると、あたかもそれが教育政策の効果であるように見えてしまうことがあります。しかし、子どもたちの変化は、必ずしも教育政策によってのみ起こるものではありません。だからこそ実験のように、比較可能なグループの差を見ることが、正確に政策の効果を把握するためには不可欠なのです。(p.134f)教...

内山登紀夫、水野薫、吉田友子編『高機能自閉症・アスペルガー症候群入門』

高機能自閉症・アスペルガー症候群入門―正しい理解と対応のために(2002/03)内山 登紀夫、 他商品詳細を見るアスペルガー症候群について。その特徴付け、診察および治療の現状、そのような子供の扱い方など。自閉症スペクトラムの考え方に立っているので、本書では高機能自閉症とアスペルガー症候群は同義に用いられている。狭義の自閉症(カナー型自閉症)からより高機能のものまでに自閉症は渡ると考えられている。自閉症スペクト...

苅谷剛彦『階層化日本と教育危機』

階層化日本と教育危機―不平等再生産から意欲格差社会(インセンティブ・ディバイド)へ(2001/07)苅谷 剛彦商品詳細を見る凄まじい本だった。噂通りだ。統計データを用いた冷徹な視点をもって、教育における階層化を「暴いて」いく。まず主に農民層からの流出により、誰でも教育を受けられる社会と、ホワイトカラー・ブルーカラーが急増したこと。「機会の平等」というよりも「処遇の平等」を求めた教育が、逆に格差を広げていること...

Appendix

プロフィール

坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
コンサルティングファームに所属。数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。しかし博士号は取らず進路変更。以降IT業界に住んでいる。

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