とてもよい一冊。短期のテクニカルトレードにおける心構えについて。原著では第一部が投資心理、第二部がテクニックの解説だそうだが、邦訳は第一部のみ。基本的な原理は明確。理解してしまえば後は同じことの繰り返しを書いているように見える。こうした心がけは、自分で同じような境地に近づいているとよく身に沁みて分かる。自分もようやく同じような境地まで来たので、実に納得して読むことができた。トレーディングの戦略やテ...
なかなか良書。FXと銘打っているがチャート分析なので商品は何であれ使える。様々なテクニカル指標を見るよりも、ローソク足をきちんと分析することを重視。レンジの高安がどこにあるかを見ていき、レンジブレイクの逆指値でトレードすることを説く。値動きの分析はしっかりしているし分かりやすい。実際のチャートでの分析例や、分析がうまくいかないパターンもあり参考になる。チャート分析はプロでない限りシンプルに考えるに尽...
株式チャート分析の基本書籍。最近は感覚的にトレードすることが多くなってしまったので、いったん基本に立ち戻ってみることとする。原著は1986年とだいぶ古い本で550ページほどある。ただ、いまでも用いられる基本的なチャートの分析手法はほぼ網羅されている。単純なトレンドの分析、トライアングル、ペナントやダブルトップ・ボトムといった基本的パターン。ダウ理論、エリオット波動といった有名な分析手法。出来高、移動平均...
1993年刊、この分野では基本書籍の一つ。トレーダーかつ精神科医という経歴の著者だそうだ。アマチュアならではの心理的側面と、株価チャートに対する様々なテクニカル指標を500ページほどにわたって細かに解説している。テクニカル指標については著者オリジナルのものを含め、ほとんど耳にするものを網羅している。ただ昔の指標は株式市場の構造変化によって役に立たなくなっているから、今日のマーケットで使用するには注意が必...
2008年のサブプライムローンによる金融危機に先立って、ずっと以前からその問題に目を付けて空売りをしていた人々についてのノンフィクション。債券市場の非道さに義憤を覚えるアナリストであるスティーヴ・アイズマン、アマチュア投資家ながら並み居る投資銀行に戦いを挑んでいくコーンウォール・キャピタル、医師から投資家に転じたマイケル・バーリのサイオン・キャピタルが扱われる。サブプライムローンの不合理さ、そして不合...
有名な指南書。インデックスファンドに投資せよとかではなく、アマチュアにはアマチュアなりの視点からの投資があると説く。一般消費者の知識からも、優良株を発見することができるという(p.107-114)。それなりに説得力はある。生活の中で出会った、大きく話題になってはいないが素晴らしい企業というのは見出すことができる。アナリストがカバーしていない株でも、アマチュアには関係ない。アマチュアにはファンドの保有者に説明...
とても有名な本。株価の動きはランダム・ウォークみたいなもの。それを何とか分析して方向を読み、利益を上げようとするのは愚かな行為。チャート分析、ファンダメンタル分析、スマートベータなど株価分析の手法をそれぞれ批判。結局は低コストで税法上最も有利な、時価総額加重の市場インデックス・ファンドを運用の中心に据えるべきだ(p.361f)という結論に至る。確かに株価分析の無効性にはそれなりに納得するものの、自分にはあ...
アクティブ投資ではなく、インデックス投資の有効性を説いたとして有名な本。勝つために行ったプレーで結果が決まる勝者のゲームと、敗者がミスを重ねることによって決まる敗者のゲームがある。昔の資産運用は勝者のゲームだったのだが、いまは敗者のゲームになった(p.21-24)。勝ちを狙った過大なリスクテイクは損失につながる。いかに負けないようにするかが、回り回って勝つための方策。著者は、短期的な天気と長期的な気候の区...
投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識(2012/10/23)ハワード・マークス商品詳細を見るバリュー投資のファンドを運営する著者が、顧客向けレターなどで語ってきた投資哲学をまとめたもの。一般的にかなり評価の高い本なので手に取ってみたのだが、あまり面白くはなかった。著者は「私の狙いは、読者がこれまでに触れたためしのない投資に関するアイデアや思考方法を伝えることにある」(p.7)としているが、あま...
αを探せ!最強の証券投資理論――マーコヴィッツからカーネマンまで(2003/08/22)ベン・ウォーウイック商品詳細を見る証券投資理論の歴史と、投資のトレンドの推移についての本。ある証券会社のCEOが激賞していたので読んでみたが、自分にはどうもいま一つだった。グラフとかは多少出てくるが、各投資理論の細かい話は出てこない。ちょっと表面的な記述に感じた。ちなみにαとは、ある投資戦略のベンチマークに対する超過利益を意味す...