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佐藤弘和、浅野弘輔『ソーシャルメディア クチコミ分析入門』

ホットリンクの人たちによるソーシャルメディアのクチコミ分析入門。ホットリンクはブログやツイッターなどのソーシャルメディアのクチコミ分析ツールを提供している。細かな分析の仕方の解説はホットリンクのツールである「クチコミ@係長」に依存する。概略レベルのものは全般的に通用する記述。具体例も豊富な良書。ソーシャルメディアの特徴としては、情報が残ること、知らない相手同士のコミュニケーションが行われること、情...

山本晶『キーパーソン・マーケティング』

キーパーソンをマーケティングに使うアプローチについて、学術的に分かっていることを中心としつつ、実際のビジネスでどう活かせばよいかを書いている。マーケティングの学術側とビジネス側を架橋するような本。ここでキーパーソンというのは、「オピニオンリーダー」「イノベーター」「インフルエンサー」など様々に呼ばれる、影響力のある人達をまとめた上位概念(p.9, 48-55)。クチコミを広める鍵となる人のこと。こうしたキーパ...

岩崎達也、小川孔輔編『メディアの循環「伝えるメカニズム」』

興味深い一冊。SNSが普及した社会でのヒットの生まれ方を、学術界、ビジネス界の人たちが研究会で議論した結果。特にまとめサイトなどのキュレーションメディアに鍵があるとする。ヒットのモデルを提示。そのモデルを、橋本環奈、ふなっしー、レモンジーナ、ヨーグリーナ、ザクどうふの5つの実際の事例で検証。さらにはエージェントモデルによるシミュレーションを行っている。人々の興味関心が細分化した今日では、マスメディアに...

山口雄大『この1冊ですべてわかる 需要予測の基本』

まさに需要予測の基本を扱った本。よく書けており、需要予測に関連する人なら一度は読んでおくべき本だろう。資生堂で化粧品の需要予測を担当している著者。SCMの観点から、在庫コントロールと絡めて消費財の需要予測について書かれている。予測の技術としてはそこまで高度な数学的なことは書かれていない。何度も繰り返し強調されるのは、需要予測担当者が生産部門、マーケティング部門、営業部門などと密接なコミュニケーション...

マーク・ジェフリー『データ・ドリブン・マーケティング』

良書。きちんとデータを取りつつマーケティングを行っていく方法について詳細に書かれている。著者はノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院の人なので、まさにマーケティング研究の牙城の人。以下の15のマーケティング指標を、マーケティング活動の種類に合わせて使い分けることを論じている。ブランド認知率、お試し率、解約率、顧客満足度、オファー応諾率、利益、正味現在価値、内部収益率、投資回収機関、顧客生涯価値、ク...

森岡毅、今西聖貴『確率思考の戦略論』

消費者購買行動の確率モデルを詳細に述べた本。主に、著者たちのP&Gでの経験に基づいている。USJでも広範に利用されているが、テーマパークは消費財とは違う(特に購買頻度や配荷の考え方)。主になっているのはP&Gのほう。端的に書くと、消費者の購買確率は負の二項分布で近似することができるということ。負の二項分布でいう、各試行の成功確率を消費者の好意度preferenceと捉える。好意度は消費者のブランドに対する相対的な好...

山口雄大『品切れ、過剰在庫を防ぐ技術』

資生堂で化粧品の需要予測を担当する著者による一冊。需要予測そのもののやり方を書いているというより、予測を行う人が陥りやすい落とし穴について書いている。著者自身が昔、学んでいた認知科学の知見を活かしているそうだ。需要予測のやり方についてのヒントを求めていた私には、ちょっと期待外れの本だった。需要予測における認知的な落とし穴は、次の通りまとめられる(p.237)。予測方針決定のステップで、利用可能性ヒューリ...

上田隆穂『日本一わかりやすい 価格決定戦略』

マーケティング観点からの価格決定について。たしかにとても分かりやすい。前著、前々著で分かりにくいと言われたのに対して、今度こそと思って書いた本だそうだ。なるべく専門用語を排除しながらも、学問上のポイントを押さえて解説している。価格が顧客を選ぶ効果、価格によるブランディング、コンジョイント分析やPSM法による価格決定方法など価格にまつわる基本的論点が短い章立てで扱われている。分かりやすさを優先している...

田中靖浩『良い値決め 悪い値決め』

物やサービスの価格を決めるというのは、ビジネスという活動の根本に属することだ。最近、価格設定に興味を持っているので、評判の良い本を読んでみた。本書のコンセプトは、おおよそ二つある。一つは、利益を売上全体で考えずに個々の商品ごとに利益を確保すること。もう一つは顧客を満足させることによって高い価格でも売れるようにすること。トップダウンで利益=売上ー費用と考えるのではなく、ボトムアップで一つ一つの売上か...

常盤勝美『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』

気象がどのように商品の売上に関係するか。どういう時期のどういう気象の動きが、どういう商品の売上を左右するか。そうした気象の動きを捉えたマーケティングや売り方、気をつけるべきポイントがかなり具体的に語られている。気象情報の見方、基本的な用語から始まり、季節ごとの典型的な気象の動き、異常気象への対応、部署別での考えられるアプローチが扱われている。主に当日や翌日の気象予報を参考にした食品小売向けのコメン...

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プロフィール

坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
コンサルティングファームに所属。数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。しかし博士号は取らず進路変更。以降IT業界に住んでいる。

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