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ロン・コハヴィほか『A/Bテスト実践ガイド』

A/Bテストについて包括的に詳しい一冊。統計的な部分からエンジニアリング、A/Bテストを施策評価の主軸とするA/Bテストドリブンな組織の在り方。小さなA/Bテストをはじめ、著者などが所属するMicrosoftなど巨大なデータサンプルサイズで一日に数百ものA/Bテストをこなすやり方まで。議論は広範に及び、また濃密なので読むにはなかなか大変。一度ざっと読みつつ、あとは自分の職務上必要な個所を丹念に読むのがよいだろう。A/Bテス...

矢野和男『予測不能の時代』

従って、あなたが幸せになるかどうかに、最も重要なのはこの一点である。すなわち互いに身体が同調してよく動くような会話ができる人が周囲にいるかどうかである。それは相手と共感や信頼が持てる関係にあるかによって決まる。そして、人を幸せにし、自分も幸せになるには、この会話中の身体の動きに注目し、自ら同調させて動かすことで、共感と信頼を発展させることがとても大事なのである。(p.85)著者はウェアラブルデバイスのセ...

稲見昌彦ほか『自在化身体論』

稲見昌彦氏が率いるERATOプロジェクト「稲見自在化身体プロジェクト」のメンバーが記したエッセイ集のようなもの。このプロジェクトは2017年からの5年間なので、まだプロジェクトとしての最終結果は出ていない。それぞれのメンバーが、自分の研究の来歴や興味を持っている事柄、プロジェクトでの途中成果を書いている。基本的にはヒューマンインタラクションの話。第三の腕を取り付けたり、VR空間で身体離脱したり、そのような実験...

牧村和彦『MaaSが都市を変える』

MaaSとスマートシティについて。海外の最新事例を豊富に含め、よく書かれた一冊。MaaSの現状についてよく分かる良書。MaaSといえばライドシェア(ライドヘイリング)や自動運転などが注目される。しかしMaaSはこれらに限られない。MaaSは自家用車以上に便利な公共交通を持続的に提供するものである。したがってまず、現在利用可能な公共交通システムが必要だ。自家用車しかないところには適用できない(p.9)。ライドシェアであれ、...

藤井保文『アフターデジタル2』

端的に言えば、UXへの注力がされていないDX、顧客の状況理解のないDXプラン、そうしたプロセスによるデジタル化は、まず成功することはないのです。(p.48)前著では中国企業を参考に、デジタル技術を使ってオンラインとオフラインを統合したビジネスモデルをいかに作るかを語っていた。本書では中国企業の状況をアップデートしつつ、昨今のDXというバズワードも取り込んで、いかに企業を改革していくかを語っている。DXの強調は流行...

シェリー・タークル『一緒にいてもスマホ』

テクノロジーは人を魅了する。人生の知恵を忘れさせてしまう。新しいものとーーかつて新しかったものもそうだがーー進歩との見分けがつかなくなってきている。だが、新しいものを熱望するあまり、新しいものに対する、私たちに続く世代に対する、責任を忘れているのではなかろうか。私たちが扱い方を知っている、このうえなく貴重なことを伝えていくのが、私たちの責任というものだ。私たちの経験を、歴史を、次の世代に語り継いで...

Hisa Ando『コンピュータアーキテクチャ技術入門』

現代のプロセッサとその周辺の技術について。ちょっとCPUの動作の基本を学ぶ必要があって手にとったのだが、そうした基本的動作については実は記述は少ない。むしろ、CPUでは高速化と低消費電力化についてどのような技術が適用されているか。そしてCPUとともにコンピュータの中心部分を構成する、GPU、メモリ、ストレージ、周辺インタフェースとディスプレイについて。最後の章ではスーパーコンピュータとデータセンターを扱う。非...

安宅和人、池宮伸次、 Yahoo!ビッグデータレポートチーム『ビッグデータ探検団』

実は、このように、感覚的には当たり前とも思える「あるある」を、検索キーワードの量という客観的なデータによって言語化、可視化できるのは、非常に貴重だ。というのも、プライベートな興味関心や感情という要素については、統計データがなかったり、そもそも調査することが難しかったりするからである。(p.31)Yahoo! Japanのサービス利用によって蓄積される膨大なデータの分析から見えてくるものをライトな感じで面白く提示した...

山本康正『2025年を制覇する破壊的企業』

シリコンバレーのベンチャーキャピタルにも関わる著者が2025年に来たるであろうトレンドを描いたもの。11社が中心になるものとしている。11社とは、Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft, Netflix, Tesla(および同じくイーロン・マスクのSpace X, Hyperloop, Neuralinkを含む), Cloudstrike, Robinhood, Impossible Foods, Shopify。B2Bが主体なので知名度のやや低い企業(CloudstrikeやShopify)や、規制等もあって日本...

日経コンピュータほか『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史』

2019年7月に終結した、みずほ銀行の統合勘定系(MINORI)導入プロジェクトについての記事をまとめたもの。記事の母体となった『日経コンピュータ』が情報システムに関わる管理層向けであるので、およそシステム部長以上を対象としたもの。そのため、泥臭い現場の話とか、ドキュメンタリー的なものとか、システムの詳細論は出てこない。このプロジェクトは足掛け8年、35万人月、4000億円台半ばの資金を投じた(p.4f)、世界にも稀な巨大...

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プロフィール

坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
コンサルティングファームに所属。数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。しかし博士号は取らず進路変更。以降IT業界に住んでいる。

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