コモンウェルスは進化しなければならない--技術的にはもちろん、文化と組織体制も。 協同組合は殊勝なリスク回避体質をどうにか乗り越えて、新しいベンチャーを支援するだけのリスクを取る手段を見つけなければならない。民主主義は昔からリスクだった。 協同組合の後継者たちも、創業者と同じようにリスクを取るチャンスに挑戦してよいはずだ。
未来は不当な巨利を得る人々だけに席が確保された世界である必要はない。人類を月...
よく練られている良書。気候変動や所得格差といった現代社会の大きな問題の解決に、民間企業をはじめとする資本主義のアクターが寄与していくために、資本主義がどう変わらなければならないかを論じている。事例は多く詳細で、やや冗長感と、事例としたいポイントからぶれてしまっている感がある。論旨ははっきりしているので、事例は適当に読み飛ばしても問題なかろう。原題からすると「資本主義の再構想」という感じで、再構築と...
社会起業家は、新しいドアをつくりだす人間ではない。ほかの人より多くのドアに取り囲まれている人間でもない。単にドアに気づくのがうまい人間であり、ドアを信じる人間だ。ドアを信じる者にとって、ドアはそこにある。(p.252f)社会変革の起こし方について。起こし方といっても、こうすればうまくいく、といった方法論とは一線を画している。原題は"Getting to Maybe"(「かもしれないを目指す」)で、社会変革を起こせるかもしれ...
良書。社会関係資本の重要性はいまや多くのところで語られている。「社会の希薄化」に対処し、市民社会が分裂してしまうのを防ぐための概念として。しかし、社会関係資本の負の側面ときちんと向き合った議論は意外に少ない。本書はそうした負の側面について概念的に議論するのみならず、フィールドワークや統計分析によって社会関係資本から人々の活動が立ち上がってくる様を描く。社会関係資本は1993年のロバート・パットナムの著...
社会の現状と対策についてのきわめて優れた一冊。ビジネススクールでの講義のため、題名は「経営リーダーのための」とある。しかし経営リーダー層に限らず、現在の社会がどうなっていて、なぜそうなったか、どうすればいいのかを考えるに適する一冊。とても分かりやすく引き込まれるものがある。それゆえ、この分かりやすい印象には逆に警戒すべきでもある。講義録なので論拠の細かな提示や、より詳細な議論は省かれている。著者た...
トランプがデータの果たす役割について、何を信じ、 何を信じ、何を信じなかったにせよ、周囲の人間は明らかにデータの重要性だけでなく、その活用方法も理解していた。 データ、メトリクス、測定結果、慎重に作りあげられたメッセージングーーそれらすべてと、それ以上のものが、CAがトランプのために働いた期間に、最大限に活用されて効果と効率を生みだしたのだった。CAが参加したときは、トランプ・キャンペーンは劣勢にあった...
資本主義社会の次に向けた提言と行動の書。最近、類書にもみるように脱成長をうたい、人間性に根差した衝動で人々が活動する社会を志向する。人を動かすような調子で書かれている。基本的な考え方に同意できる人は、謳われる未来像に共感して読んでいけるだろう。どうも同意できない人は、現状の表かと指摘に引っかかるし、未来像は美辞麗句が連ねられた誇大広告に見えよう。本書は見田宗介の議論の枠組みに基づいている(p.20)。物...
本書は一般的な都市に関する書籍群とは異なり、このような「メディア」をはじめとした、あらゆるテクノロジー進化の歴史と、それにともなう人間の生活を取り巻く社会経済的な変化に焦点を当てる。それが都市5.0の時代の「都市」を考えるうえで、極めて重要なバックボーンであるにもかかわらず、多くの「スマートシティ」などの議論において、まったく欠けている点だと考えるからである。(p.17)次世代の都市についての論考や試みを集め...
われわれは常に、諸現象の「背景」、「根底」、「起源」を探ろうとする。 これこれの現象が成立している。成立しているからには背後でそれを支える一般的なものが、あるいは何らかの根拠が存在するはずだ、と。一方ルーマンは、そのつど成立している事実的な事態を超えるような何かを、さらにはその事態の「起源」を想定することを、徹底的に拒否する。この態度を、徹底的な内在性の立場として性格づけることもできるかもしれない...
私たちがGood Ancestor、すなわち後世の人々から見て良い祖先であったと評価されるためには、いま何をしたらよいかを語った一冊。短期的な利害に引きずられがちな私たちの思考を、いかにして100年単位の長期的な利害を考えるように向けられるか。そして考えた事柄を実行に移すようにできるか。人々を長期思考に向けされるためのアプローチ、長期的利害を検討するためのアプローチ、長期的利害を踏まえた方策を立案し実行するための...